1930 Paul Adrien Maurice Dirac により陽電子の存在が予言され
1933 Carl
David Anderson により実験的に陽電子が発見されました.
陽電子は約80年
前に発見された粒子であり、物性研究に利用され始めたのは60年ほど前のことです. C. D.
Andersonは宇宙線の観測時に陽子より軽く正の電荷を持つ粒子を発見して "Positron"
と名づけました.
陽電子のもつ特徴的な現象に,電子との対消滅があります.陽電子が電子と衝突すると対消滅し、その時ほぼ反対方向に2本のγ線を放出します。この現象は,陽電子消滅(Positron
Annihilation)と呼
ばれ, 消滅γ線のエネルギー分布や陽電子の寿命を測定することにより材料の物性評価を行うことができます.
上殿研究室では,陽電子消滅を用いた材料評価を行っており,評価対象は金属・半導体・高分子など多岐にわたります.
国内外の様々な企業・研究機関と共同研究を進めており,提供された試料の評価・分析を行うことで材料開発を支援しています.
また材料評価と並行して,低速陽電子ビームラインと陽電子寿命測定装置の開発
と改良を行っています.
CAD(Computer Aided Design)を利用したハードウェアの設計・製作から,Visual
BasicやC++による測定・解析アプリケーション開発までを一貫して行っています.