電子は、電荷とスピンという2つの属性を併せ持つ粒子であるが、これらの属性は半導体工学と磁気工学という異なる分野で別々に利用されてきた。しかるに、近年、精密な結晶成長技術や微細加工技術の発達により、ナノスケールの構造を持つ物質や電子デバイスの作製が可能となってきた。
本講義では、この様なナノスケールの世界では電子の電荷とスピンが絡み合う新しい物理現象があらわれ、このことにより「スピントロニクス」と呼ばれる新しい研究・応用分野が育ちつつあることを学ぶ。
講義においては基礎に根を下ろした理解を得るために量子力学の基礎から出発しつつも、最終的にはスピントロニクス全般を理解することをめざす。 |