磁気異方性は磁性材料の性能を左右する要因として多くの研究が行われてきました。これからも磁気記録材料やスピントロニクス分野において、垂直磁気異方性はさらに重要性を増してきています。垂直磁気異方性を含めた磁気異方性の起源には未だ未解明の課題が多く、新たな応用には機構を周知した材料開発が重要です。現在、高機能な垂直磁気異方性材料として白金族を含む材料が開発の中心になっていますが、他方で白金族元素などの希少・貴金属を用いない材料開発が、持続的な社会の発展と維持に欠かせないものと考えられます。そこで磁性材料に求められる磁気異方性についての議論を進め新たな材料開発の指針とすべく、磁気異方性の物理とその舞台となる磁性材料をあらためて見直す機会が必要と考えます。
現在、文部科学省の元素戦略プロジェクト「複合界面制御による白金族元素フリー機能性磁性材料の開発」において、古典的な磁性材料であるフェライト酸化物の薄膜化開発を行い、元素戦略的開発を推進しています。今年度が本プロジェクトの最終年度に当たることもあり、プロジェクトの総括も兼ねて「垂直磁気異方性の材料と起源の物理」に関する研究会を計画しました。この研究会では、酸化物、金属合金など種々の磁気異方性に係わる実験的、理論的起源を見直し、応用につながる新たな垂直磁気異方性材料の開発の手助けとなる内容としたいと考えています。
本研究会は、文部科学省元素戦略プロジェクトならびに日本磁気学会、KEK筑波大学連携支援事業の支援を受けています。
平成26年1月11日(土) 10:00-18:00
中央大学 駿河台記念館 360室
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3丁目11-5
Map時間 | 講演者 (敬称略) | 内容 |
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10:00-10:10 | 趣旨説明 | |
10:10-10:20 | 本間穂高 (文科省)、中山智弘 (JST) | 「元素戦略プロジェクトの意義」 |
10:30-11:00 | 鈴木孝雄 (アラバマ大) | 「G8プログラム:次世代高性能磁石材料」 |
11:00-11:30 | 白鳥紀一 | 「酸化物磁性体の磁気異方性と格子の歪」 |
11:30-12:00 | 喜多英治、柳原英人 (筑波大) | 「Coフェライト薄膜の作製と垂直磁気異方性」 |
12:00-12:30 | 井上順一郎 (筑波大) | 「Coフェライト薄膜の磁気異方性と磁気弾性効果」 |
12:30-13:30 | 昼食 | |
13:30-14:00 | 高梨弘毅 (東北大) | 「L10 型規則合金垂直磁化材料の創製と評価」 |
14:00-14:30 | 水上成美 (東北大) | 「マンガン系合金薄膜の垂直磁気異方性」 |
14:30-15:00 | 薬師寺啓 (AIST) | 「垂直型STT-MRAMの材料開発」 |
15:00-15:30 | 白井正文、辻川雅人 (東北大)、三浦良雄 (京都工繊大) | 「強磁性金属/酸化物界面における垂直磁気異方性の起源」 |
15:30-16:00 | 休憩 (コーヒーブレーク) | |
16:00-16:30 | 高橋有紀子 (NIMS) | 「熱アシストFePt磁気記録媒体の組織制御」 |
16:30-17:00 | 加藤剛志 (名古屋大) | 「局所磁性制御による垂直磁化ナノパターン形成」 |
17:00-17:30 | 喜々津哲 (東芝) | 「ビットパターンド媒体における反転磁界分布と垂直磁気異方性」 |
17:30-18:00 | まとめ | |
(18:00-) | 終了後懇親会 |
研究会参加費は無料です。終了後は懇親会も予定しております。準備のため研究会に参加される方は1/6(月)までに下記の連絡先まで、懇親会出席の有無を含めてご連絡ください。
担当者: 喜多英治
電話: 029-853-5303 FAX: 029-853-5205
メール: mmml2014@bk.tsukuba.ac.jp